ファイブ・ペニーズ/ハァモニィベル
ると、あらためて思われたことを察した。
《あらゆる火花のエネルギーを吐き尽くした火球は、もろく力なくポトリと落ちる、そしてこの火花のソナタの一曲が終わるのである。あとに残されるものは淡くはかない夏の宵闇である。》
線香花火の最期を、寺田寅彦はそう書いている(「備忘録」『寺田寅彦随筆集第二巻』岩波文庫)。線香花火の奏でる音楽に比べて、洋風の花火がいかに粗雑なものであるかに触れたところではこんなことも。
《近代になって流行りだした〔…〕なんとか花火とか称するものはどうであろう。なるほどアルミニウムだかマグネシウムだかの閃光は光度において大きく、ストロンチウムだかリチウムだか
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