ファイブ・ペニーズ/ハァモニィベル
じぶんの持っているものよりはるかに、妖しくもあり、激しくもあり、哀しげでもあり、そしてそれが永遠に続くかのようでもあるその光景の何か神々しいくらいの美に撃たれた。
でもそのとき、私にはそれを、笑顔と、瞳を見ることでしか表現ができなかった。すると、その女のひとは、私にむかって、こんなに続くのはわたしも初めてなの、不思議ね、と言い、私の眼をみた。見つめ合ったまま、わたしは、そのとき初めて、理由もなく大人でないことがひどく残念な気がした(十歳にもなってないのだから当然だ)そう感じていながら、その魅力的な女らしい瞳に、私は精一杯子供らしい笑顔を見せていた。そしてそうしながら、相手に、私がこどもであると
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