Miz 17/深水遊脚
もっているので、激しい打ち合いのなかで虎視眈々と隙を狙う。
不意に政志さんの左手がだらりと垂れ下がった。そのぶん政志さんの左側にあからさまな隙ができたが、柏木はすぐには乗らなかった。変わらずに繰り出されていた右手の突きと右足の蹴りを交わし、喉元に手刀を打ち込んだ。まともに喰らった政志さんは倒れかかったが辛うじて堪えている。そのまま固め技に持ち込みたかった様子の柏木はうまく合わせることができず、逆に倒れこむ政志さんに右腕を掴まれてバランスを崩した。政志さんが倒れながら掴んだ腕を両脚に挟み、十字固めが綺麗に決まった。柏木の顔が苦痛と後悔に歪んだ。こう綺麗に決まってしまえば、普通の人間には逃げら
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