ほむらたび/あおい満月
 
から風を吹いて、
私をいっそう燃えさせる。

**

(燃えるのをやめたい、やめたい)

気がつけば泉に来ていた。
私は泉に棲む女神に訴えた。
すると女神は、
(あなたは泳げないでしょう?ここからやがて海に旅立っても泡になるのがオチよ)
からからと鼻から滴を放ちながら笑う。

***

気がつけば見晴らしのいい丘にいた。
丘には北風が強くふいているようだった
燃えている私にはわからないが、
少年が一人震えていた。
私を見つけた少年は言った。

(おお、火じゃないか。良かった!寒かったんだよ、暖めてよ。)
そういってかちかちと私の腕に石をすり始めた。

[次のページ]
戻る   Point(0)