春陰茎/ただのみきや
偉大な知性の前では
飴細工のように鋼鉄だって自在に曲げられる
甘い曖昧が美味いと言うと
アパートの二階の窓から否定が降って来た
こどものパンツでは隠せない真実が
ドアを開けてこちらにズンズン来る
言い訳は単純だった
存在の形体は現象として時間にゆらぎ
消費されて往く
カーキ色のジャケットから運命の欠片を取り出して
男は
熟語の多さにうんざりする
昔読んだ本は女だったいつも
戻ろうとしていた
解凍された公園で過去の自分に成り切る
わけではなく
過去に憑依されるのだ
また一つ朦朧と女が来る
公園を真っすぐに横切って
ひとつの移動物体へひとつの移動物体がぶつかる
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