花畑(5)/吉岡ペペロ
自分の浅はかさや世間知らずに萎えていた。
ぼくはとりあえず電車に乗った。でも、いたたまれなくてひと駅で降りた。降りると教会の鐘が鳴っていた。和夫くんのことを思い出した。ここは和夫くんが入院していた病院のある駅だ。
ぼくも母親も、和夫くんや和夫くんのお父さんやお母さんを裏切った。なにも変わりやしない。
和夫くんがいじめられていたとき、ぼくは逃げた。逃げて逃げて、もとに戻ろうとしなかった。師匠のところにもう一度謝りに行かない自分をそれにかさねた。仕方がないじゃないか、そんな言い訳じみた言葉をひとりごちた。合わせる顔がないんだから、仕方ないじゃないか。
つまらなくてもいいからなにか映画で
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