花畑(5)/吉岡ペペロ
いることを話したのはぼく自身なのだから。
「筋通しゃあ文句は言わねえよ、それをこそこそやりやがって、このばか野郎が、顔も見たくねえよ、これ持って出ていきやがれ」
今月分のお金が入った給料袋を投げつけられた。
ぼくはそれを拾い、ちからなく謝って師匠の店を出た。
思えば親代わりになっていつも気にかけてくれていた師匠だ。怒って当然だ。それが人の道だ。道筋だ。いいとししてほんとうにぼくは馬鹿だった。
胸がどんよりした気持ちで焦げていた。目と鼻がつんとしてくる。もう一度ちゃんと謝りに行こうか。合わせる顔がないな。師匠に告げ口しやがった野郎を殴りに行こうか。そんなちからも涌かない。ぼくは自分
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)