花畑(5)/吉岡ペペロ
 
してまた週刊誌をひらいた。
 和夫くんのお寺の記事がちいさく載っていた。和夫くんのお寺は再興していた。最近、ほんとうにちょくちょくではあるが、週刊誌に和夫くんのお父さんの教団の記事が載るようなことがあった。
 あれほど壊滅的な状態におちいって、ちょうどその時期、跡取り息子だった和夫くんまで失って、よく再興したものだと思う。あれからもうすぐ二十年になるのだ。ぼくは嬉しかった。店長というのは名ばかりで店員とさほど給料の変わらない身ではあったけれど、こうしてたまに和夫くんのお寺の記事を見つけると俄然やる気が湧いてくるのだった。
 ぼくはその頁をやぶりとって、お客さんの待ち合いソファに週刊誌を戻した
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