花畑(4)/吉岡ペペロ
 
入れるのがつらかった。だからあまりハサミを入れないでつくれた。和夫くんの顔の切り絵は小さくならなかった。
 お不動様も和夫くんの顔を切り絵でつくるときみたいな気持ちでやればうまくいくかも知れない。そうすると実際うまくいった。和夫くんをつくっては、お不動様をつくった。それを繰り返して、わりと大きなお不動様の切り絵ができるようになった。ぼくがそれを持って和夫くんのお見舞いに行こうと思いたった頃には、冬が終わりかけていた。
 和夫くんの病院のある駅を降りると教会の鐘が鳴るのが聞こえた。空に和夫くんの顔が広がった。
 冷たい風がやむと日射しがあたたかな日だった。ぼくはこんなに大きな病院に来るのははじ
[次のページ]
戻る   Point(2)