花畑(4)/吉岡ペペロ
」と言っていた。それをよくふいに思い出した。思い出すたびになぜだか身を切られるような痛みがぼくを責め立てた。
寝ているときだけ、ぼくはくつろげた。朝起きるとすぐ和夫くんのことを思い出した。それから一日どんよりとした不安を引きずった。寝ているとき以外にあとひとつだけ、不安を忘れられるときがあった。それは始めたばかりの切り絵をしているときだった。
帰り道に拾った落ち葉がきっかけだった。落ち葉にあき足らず、ぼくは和夫くんのお寺のお不動様にも挑戦した。ハサミを入れすぎて、それはいつもどんどん小さくなっていった。
あるとき和夫くんの顔を切り絵でつくってみようと思ってすぐとりかかった。ハサミを入れ
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