花畑(4)/吉岡ペペロ
 
たを見てぼくはふるえた。
 でも和夫くんの成績はいつもクラス、いや学年でもトップだった。
 二年生の夏休みまえ、和夫くんが入院した。お母さんもそれを知っていた。
「あんた和夫様にいつも助けていただいてたんだろ、お見舞いにいっておいでよ」
 それならお母さんだってお寺に行きなおしたらいいのにと思いながら聞き流しているうちに、もう秋になっていた。
 ぼくにはこの一年の記憶があまりなかった。背が伸び、すこし痩せて、声も変わった。もういじめられることもなくなっていた。
 いつも和夫くんのことを考えていた。
 和夫くんは小学生の頃から口癖のように、「ぼくはお父さんのような立派な宗教家になる」と
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