花畑(3)/吉岡ペペロ
 
ぼくは悲しい気持ちになった。解脱者になった和夫くんでもそんなことを気にするのかと思ったのではない。和夫くんの痛みが太っていることでいじめられていたぼくには分かるからだ。
「きのうお父さんに怒られたんだ。ズボンの生地をなんとか固くてパリッとしたものにしようとして、何度も何度もアイロンをかけてたら、そんな誤魔化しみたいなことするんじゃないってさ」
 和夫くんのズボンが泥だらけだ、ぼくはただ和夫くんの涙を見たくなかっただけだ、和夫くんの涙を見たらぼくはバラバラになりそうだった。
「うおおおお」
 和夫くんといじめっ子のすぐ横をぼくは大声で叫びながら駆け抜けた。いじめっ子たちがぼくの名前を叫んでい
[次のページ]
戻る   Point(1)