花畑(3)/吉岡ペペロ
でいた。
走りながら泣いていた。ごめんね、和夫くん、和夫くんはすごいから、ぼくは知ってるから。
和夫くんとよく歌を歌ったあたりを過ぎた。鼻がいたくなった。花畑を踏みつけて走るようだった。胸がつぶれそうだった。でもこんな痛みは和夫くんと比べたらましだ。「ぼくはお父さんのような立派な宗教家になる」和夫くんの口癖がよみがえった。いつも助けてもらっていたのにぼくは和夫くんを助けなかった。それどころかそれ以来、ぼくは和夫くんから完全に離れるようになった。
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