花畑(3)/吉岡ペペロ
見ていた。わざと和夫くんより遅れて下校したのに、こんな場面に遭遇した自分を呪いたくなった。
和夫くんはわざわざ妹さんたちを小学校までむかえに行ったのだろう。
和夫くんの学生服のズボンが泥だらけだった。四月、はじめての学生服での帰り道、「笠置くんは学生服が似合うね」そう和夫くんに褒められた。
「和夫くんも似合ってる」それはほんとうだった。和夫くんは惚れ惚れするぐらい学生服が似合っていた。
「偉い軍人さんのようだよ」
「そうかなあ、ありがとう」和夫くんがズボンを触って、
「ぼく足がまっすぐじゃないだろ、だから学生服だとそこが目立っちゃうんだよ」
「わからないよ、大丈夫だよ」
ぼく
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)