花畑(3)/吉岡ペペロ
 
。でもいつもいじめっ子たちを追い払ってくれた。和夫くんの凛とした声を聞くと、いや和夫くんが現れただけで、いじめっ子たちはそれをやめた。その和夫くんがお父さんのことで文句を言われていた。
 ぼくは祈った。和夫くんのお寺のお不動様に祈った。でもそれは目を閉じて隠れていただけのことだった。
 激しい音がした。教室のすみに立て掛けてあった和夫くんの松葉づえが誰かに蹴飛ばされた。
 和夫くんの顔をおそるおそる見た。目があうまえに視線をはずした。
 その日の帰り道、和夫くんが石を投げられていた。和夫くんは屈んで妹さんたちをかばうように松葉づえをもった両手をひろげていた。
 ぼくは足をとめてそれを見て
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