花畑(2)/吉岡ペペロ
すると和夫くんが真正面にいるのが分かった。
和夫くんが悪いほうの足をまえに投げ出して正座していた。お腹のあたりでひらいた両手を重ねている。長い指が美しい。それがちょうどぼくの目線あたりにあった。
目が慣れてきた。青い月の光が板と板の間から幾重にもなって納屋のなかにさしていた。それが和夫くんの顔に縞模様をつくっていた。和夫くんの長い睫毛と口もとが青く浮かび上がっていた。
和夫くんが目を閉じたまま微笑んでいた。頬に涙がかわいたようなものが見えるのは青い光と影の加減だろうか。
板からは相変わらずぼくの顔にびりびりと振動がしていた。
はっ、ぼくは息を飲んだ。
片足を投げ出して正座し
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