花畑(2)/吉岡ペペロ
 
まえに和夫くんがお父さんがつくったんだよと自慢していた納屋だ。
 ぼくは納屋に走りよっていた。振り返ると和夫くんのお母さんがおはぎのお盆をもってこっちを見ていた。ぼくのお母さんがこの世でいちばん尊敬している和夫くんのお母さん。もう一度振り向くと和夫くんのお母さんが静かにうなずいた。
 ぼくもなぜだかうなずいていた。
 ぼくは屈んで、板と板の隙間に顔をよせた。なかに和夫くんを探した。暗くてよくわからない。でも声をかけたら申し訳ないような気がした。
 なかがしんとしたままだ。目をこらしていると板に顔をくっつけたところがびりびりしてきた。動いているものがないから分からなかっただけで、しばらくする
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