花畑(2)/吉岡ペペロ
 
だれを呼んだら良いのかわからなくてそう叫んだ。妹さんが引き返してくるのかなと思ったら、玄関に明かりがついて和夫くんのお母さんが出てきてくれた。
「あら、笠置さんのお坊っちゃんじゃないの、おかえりなさい、遅くにまあ、よく来てくれたねえ」
「あのう、これ、おはぎです。お寺に届けてって言われて」
 和夫くんのお母さんが一瞬むつかしそうな顔をしてからぼくに礼を言った。帰り道、和夫くんもそんな顔をしていた。
 ぼくは和夫くんが心配になった。
「和夫くん、いますか」
「和夫はお父さんに叱られて、納屋のなかなの」
 和夫くんのお母さんが板を組み合わせてつくったちいさな納屋を目でしめした。
 まえ
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