花畑(2)/吉岡ペペロ
持っていってあげるよ」
「ああ、そうかい、それは助かるよ。いまからあんたの晩ご飯もつくらなきゃならないからね」
ぼくは風呂敷に包まれたお盆をかかえて家を出た。もう夕暮れだ。あたりが白っぽくなっていた。
泥団子を大事そうにかかえている自分がおかしかった。泥団子は渋柿だ。食べなくても分かる。和夫くんの敵が、お母さんに泥団子をつくってもって来いと言ったのだ。
お寺の門のまえに女の子がたっていた。
ぼくが門をくぐると女の子が、
「おかえりなさい」
そう言ってぱあっとぼくを通りすぎて境内に消えていった。和夫くんの妹さんだ。
「すみませえん、笠置ですう、すみませえん」
ぼくはだれ
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