花畑(1)/吉岡ペペロ
なんだろうね」
和夫くんはお寺の跡取り息子さんだ。お母さんは和夫くんを和夫様と呼んでいる。おまえなんかがお側に寄れるお方じゃないんだよと言っている。でもぼくが和夫くんによくしてもらっていることをとても喜んでいた。
「ぼくは応援するよ」
「ありがとう」
「アマリリス、歌おうよ」
「うん」
和夫くんがハーモニカを取り出してぼくの歌に合わせて吹いた。最近はアマリリスばかりだ。お姉さんの教科書で一年前から練習していた和夫くんも、この前習ったばかりのぼくも、この曲が大好きだ。和夫くんに言われてからぼくにも、この歌を歌うとお花畑が見えるようだった。
ぼくはリズムにあわせてその場で兵隊さんの
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