花畑(1)/吉岡ペペロ
あけた。
きょうは蹴られなかった。それどころか同級生のひとりがぼくに、
「きのう、ごめんな」そう言ってきた。
「あ、うん」ぼくは返事をひとつして、また和夫くんのあとを追った。
「仲直りをしたんだね」
「うん、そうみたい、きのうは石をぶつけらたんだけどなあ」
「きのうが最後だったんだよ」
「でもさっきあいつら見ると、こわかったあ」
和夫くんが足をとめて柿の木に背中をあずけた。
ハーモニカを出すのかなと思ったら、和夫くんはオレンジいろの柿の実を指さした。
「この柿、甘いか渋いか分かる?」
和夫くんがぼくを見つめた。
「食べてみたら分かるよ」
ぼくは恐る恐るそう答えた
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