花畑(1)/吉岡ペペロ
ろう。
あるとき和夫くんがめずらしくむつかしい顔をしてさっさっと松葉づえをついていた。ぼくは追いかけるようにしてあとをついていった。
「和夫くん、どうしたの?」
「え?」
「なにか急いでるの?」
「そんなことないよ」
同級生たちが前のほうに見えた。きのうぼくはひとりで家に帰った。お母さんといっしょに家でお祈りしているのに石をぶつけられた。
ぼくは和夫くんのうしろに身を寄せた。
「笠置くん、もう仲直りした?」
「まいにち祈ってるよ、でもきのう石投げられたよ」
「そうか、ぼくも祈ってるんだけどなあ」
「そうなの! 和夫くんも祈ってくれてるんだ」
同級生たちが道をあけ
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