花畑(1)/吉岡ペペロ
うハーモニカで吹けることに驚いた。それを尋ねると、
「お姉ちゃんの音楽の教科書にのってたからだよ」
和夫くんはそう言って恥ずかしそうに笑った。
「なんかこの歌、和夫くんみたいだ」
「そうかな」
「正義の味方って感じがするよ」
きりっとしていてのどかな感じが心地いい曲だ。
「笠置くんも上手だよ、アマリリスのお花畑が浮かんできたよ」
「音痴じゃない? ほんとに上手?」
「うん、うまい、お花畑が浮かぶんだから」
ぼくは和夫くんといるだけでいつもこころがうきうきとした。アマリリスがどんな花なのかは分からないけれど、和夫くんが言うのだから、お花畑って、こんな気持ちのところなのだろう
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