花畑(1)/吉岡ペペロ
笠置くんがするから意味があるんだよ」
「うん、分かった」
反射的にそう言ったものの、どうやってご先祖さまと仲直りをすれば良いのか分からなかった。でも、お母さんが和夫くんのお父さんがしているお寺にいっているから、家で聞いてみようと思った。
「笠置くん、きょう習った曲、歌ってよ」
和夫くんはいつもぼくのことを歌がうまいと言って褒めてくれる。だから帰り道、ぼくが歌を歌い和夫くんがハーモニカを吹いてよく遊んだ。
和夫くんが太い木に背中をあずけてハーモニカを吹き始めた。長い指が口もとおおっている。白い頬がふくらんだりへこんだりしている。ぼくは歌いながら、和夫くんが習ったばかりのこの歌をもうハ
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