僕は死に始めた/ホロウ・シカエルボク
に
拾うべきものなんかもうほとんどない
僕は死に始めた、遮光カーテン越しに照りつける太陽の光の中で
僕は死に始めた、遠くから遠くから聞こえてくるもう歌えなくなった誰かのメロディーの中で
僕は死に始めた、餓えた餓鬼どもの群がる汚れた道の上で
僕は死に始めた、ころころと形を変える空の気まぐれの下で
何度も読み返した推理小説が読みかけのまま放置されている、それは僕に曖昧な状態で継続している命の定義を連想させる、屋上にもう食いたくなくなったパンを細かく刻んでばら撒いている、丸々と太った鳩や、雀や鴉らがどこかからやってきて、バイキング料理に群がる脂肪詰めの肉体を持て余した女たちの
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