書くか・ソレデモ/ただのみきや
 
鯨を喰う権利が追い詰められたヌーの群
れのように少女の小さな泉に飛び込んで
痛む蛾よりも金色の眼をしてもう大人だ
と笑う教会の洗礼式が行われた海岸には
過去が過去のまま生身で流れ着く半島の
ゴミが流れ着くように裏切り者が処罰さ
れる蠢く夜の獣のにおいに巻かれ蛍が無
数に落ちる兵士たちは紙のように燃え神
になれなかった穴はどの時代どの国でも
開き続け主義も宗教も敵も味方もなく蛍
はみな震えながら明滅し加速するドミノ
は光速を越えるガンジスの子が矢を枕に
眠ると神話が残り人はシに記された神々
はなく風が太陽が稲妻が漂う意識を巡り
照らし埃っぽい言葉の屍が渇きだけを灯
して
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