神棚のサドル/カンチェルスキス
 
学生たちはそんな抜け道をよく知っていた。それ以来、私はこの道をよく通るようになっていた。
「乗れ、ということなのか?」
 こどもが集う場所には必ずと言っていいほどある、コインを入れたら、飛ぶ格好をしたアンパンとかがぐらぐら揺れるあの乗り物。あれかと一瞬思ったが、コイン投入口はどこにも見当たらなかった。焼肉屋や飲み屋、散髪屋なんかが、曇り空に調子を合わせるかのように、押し黙っているだけだった。私は戸惑った。
 こんなふうにも推測した。ある年のこと、台風の後、ある老婆が日課の散歩に海へ出かけた。強風の影響で、波打際にはさまざまな物が集まっていた。ペットボトル、空き缶は当然のこと、炊飯ジャーやテレ
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