撹拌される真夜中の指向性(望まれるのはイレギュラーバウンド)/ホロウ・シカエルボク
 
そしてきっとそれは真実なのだろう、俺にとっても、彼にとってもだ―俺を覗き込んでうだうだとくだらないことを話しかけていたやつはすっかり黙ってしまった、だがまだ去っては居ない、去っては居なくて、相変わらず俺の顔を覗き込んでいる、まるで俺がそいつにたいしてなにかしら口を利く義務があるとでもいうように…俺はほんのわずか睡魔を感じる、それは頭痛のような形でやってくる、こうした頭痛は、と俺は考える、こうした頭痛は、ほぐしてしまえばさらに眠れなくなるのだろうか?だって、こいつは睡魔と共にやって来たのだから―俺は時計を探す、今はいったい何時なのだろう、いつからか部屋に時計を置かなくなった、携帯電話でことが足りるよ
[次のページ]
戻る   Point(0)