撹拌される真夜中の指向性(望まれるのはイレギュラーバウンド)/ホロウ・シカエルボク
る、「お前を終わらせることなど造作もないんだぞ」と勝ち誇る、それも俺が何かしら答えたくなるような種類の言葉ではない、俺は黙って聞こえない音楽のリズムをとり続けている、これはまるで俺の人生そのもののようだと考えながら、「おい」、おいとやつは声をかけ続ける、何が何でも俺に返事をさせようとしているのだ、俺はもうそいつに対する興味を無くしてしまった、人に何かを語りかけようとするときにはきちんと正面に出てきて語りかけるものだ、俺の耳にはいつか潜り込んだ店で聞いたポエトリー・リーディングの一節が蘇ってくる、かすれた声で叫ぶように読んでいたあの男―あの男も自分にまといつく何もかもを信じていないように見えた、そし
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