撹拌される真夜中の指向性(望まれるのはイレギュラーバウンド)/ホロウ・シカエルボク
 
てくる、「何もかもまだだ」と俺は答える、何もかもまだだ、何もかもがまだだと、歌の文句のように何度か繰り返す、「何もかもがまだ」そいつは反復して笑い出す、「暢気なことだな、ええ?」俺は返事をしない、それは俺に何かを答えようと思わせる言葉ではない、真夜中に目を見開いて…このところすぐに血走ってしまう目玉、もうあらかたのものは見てしまった、そしてこれから見るものはすべて判っている、もう見る必要もほとんどないようなもののこと…俺は人差し指でテーブルを叩く、カフェで、流れている音楽に合わせてリズムをとるように規則的に、「何を考えている?俺の質問に答えないつもりか?」様子を見ていた誰かが俺の耳元で喚き始める、
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