死体の頭を数えて、永らえた今日を。/ホロウ・シカエルボク
 
くるやつみたいにいきなり来ては去っていった、そういう付き合いを得意にしている女のように


だがいまそいつはほとんど毎日のように俺の隣に居て、ある種の欲望を制限するみたいに寄り添っている、俺は即席の珈琲の粉をマグカップに適当に投げ込んで安易な解放の中を泳ぐ、一昨日、俺は、打ち捨てられた映画館の廃墟を見つけた、「立入禁止」と書かれた札の張り付いた小さな木の柵を乗り越えて、猫の額ほどの駐車場に入ると、二階部分の剥き出しになったロビー跡が見えた、客席やスクリーンはすでに無かった、崩落というよりはそこだけが壊されて持ち去られたようだった、どうしてそんな風に残してあるのか判らなかった、それはきっと、そ
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