ニコチンよ永遠に/アラガイs
 
黄ばんだ大きなスポーツバックに、だらしなくズボンをずり下げた高校生の一群がたむろしている。ふう〜と吸い込み、また煙を吐き出す姿がよほど気になるのか、ちらりと私の方をみてはまた顔を逸らす。そういえば高校生のワルどもが煙草を吹かす姿を街の角でも眼にしなくなった。まさか国民に浸透してきている禁煙キャンペーンが功を奏し、彼らのほとんどを非喫煙者、健康志向の若者に姿を変えてしまったのだろうか。 いや、そんなはずはない。たぶん途方もなく値段を吊り上げたのが功も奏したのだろう。粘着することへの覚束なさ。けれども先は見えない苛立ち。快楽を貪る大人への興味から、若者が毒葉の誘惑に惹き付けられてしまう。中毒症状の魔力
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