ニコチンよ永遠に/アラガイs
 
白い悪魔だ。味わうことのない人々が車窓の中から眺めている。なんとも不様な姿に映ることだろう。
たまに新幹線乗り場へ行けば、よく喫煙ルームが設置されてあるのを見かける。ローカル線へ向かうならば、私のポケットには種類の違うキャンディやガムがある。煙草の値段は上がった。しかもそのほとんどが税金で徴収される。追いやられ、公共の施設で天井を仰ぐとき、ぶつぶつと怒りにもならない不平を喫煙者は噛みしめる。自らの範疇を依存者として受認する末席。それでも煙幕の下僕と座してしまう。その認識自体が既に外様なのである。

くしゃくしゃになった箱から一本取り出すと火をつけた。部活帰りだろうか、対面するホームには黄ば
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