ぜんぶ/ハァモニィベル
 
りに
突っ込んでくるのだった。この位置に突っ込まれると 面白いように
人は飛ぶのだと知った。植込みを見る度、犬は突っ込んできて、
その度に私は、反対の植込みに飛ばされた。

 花や木の匂いを嗅ぐと、そこが草原だとでも思うのだろうか、
嗅ぐ度にそれを合図に「な。」とでも私に確認するような目を向け、
彼(あとできくと彼女だった)は、突進を繰り返す。わたしが闘牛士の
ように躱すと、むこうも反転して また突っ込んでくる。やがて
それを繰り返すうちに、まともに受けて飛ばされるのだ。

 そうやって、飛ばされて転んだ後は、顔をべろんべろんに舐められる。
すると、こいつはこんなに巨大だっ
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