北大病院にて/ただのみきや
聖書研究会の学生たちに混じり
小屋をかけ道行く人に説教をした
北大生でもないし
大学生でもなかった
大学生であったことすらない
聖書学校を出て間もない頃に
何度も来ているのだ
ここには
一年ほど前にも来ている
高専の試験会場にここの工学部が使われて
妻と二人で息子の送り迎えをした
いつも忘れた頃に
この二十五年くらいに
十数回は来ているのだ
――四時
診察室に戻り医者と話す
いい医者だ
理由はない
なんとなくそう思った
肝炎で通院していた時の主治医は
骸骨みたいで
死神博士と呼んでいた
「まだ薬けっこう残ってるから今日の分はいいです」
「ただのさん
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