北大病院にて/ただのみきや
 
ガメの役をやった
魚たちと一緒に
だから何だ

カフェテリアは賑わっている
入院患者
通院患者
お見舞いの人
病院のスタッフ
丁度よい
柱の影の椅子に潜む
ミネラルウォーターを飲みながら
顔を上げると美しい娘が微笑んでいる
当然わたしにではなく後ろの誰かに
どぎまぎして目を伏せる
純粋さは深く鋭く刺さる

十七年前
息子はここで生まれた
難産だった
あのころカップ麺の販売機があったが
今は見当たらない その代わり
衣類まで売っているローソンがある
熱帯植物の温室はまだあるようだ

一歳半か二歳くらいの子どもが
ぺたぺたと歩いている
広い場所が楽
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