足並み/為平 澪
 
に私が赤点ギリギリと
分かったら、みんなそっぽを向いていたくせに、私のIDを知った途端に手を叩く人と、水をかける人。
「地域はそういう仕組みになっている。」ということを教えてくれた人は独り、
黒い箱に入れられたまま、口を開くことはなかった。
                 


──と、いうことで総会は開かれた。理由もなく会議には老人が選ばれた。
おせんべいも割れない歯で、するめをしゃぶるだけの舌で、一体どんな話し合いをしたのだろう。知らない町の交流会館で、そんなつぶやきを書いている、私によく似た私を見たよ。
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