足並み/為平 澪
よ。故郷は竹藪の中に消えたのに、そこが私の赤点の出発点だったなんてことは、交流会に参加できなくて、会議室の隅の暗室に詰め込まれた、寂れた椅子が知っている。
(座る人もいなくなったら椅子って誰が呼んでくれるの?
竹藪の中に放り込まれた木造椅子も、そういったら壊れていったのに。
会議室はハクネツしているみたいで、喉をカラカラにしたペットボトル
たちが並んでは、すごい速さで捨てられていく。
沈殿物が覗いていた穴が、巨大になっていることにも気がづけないまま、
会議室が暗室になる日、足並みは、途絶えた。
戻る 編 削 Point(7)