足並み/為平 澪
 
よ。故郷は竹藪の中に消えたのに、そこが私の赤点の出発点だったなんてことは、交流会に参加できなくて、会議室の隅の暗室に詰め込まれた、寂れた椅子が知っている。
 (座る人もいなくなったら椅子って誰が呼んでくれるの?
  竹藪の中に放り込まれた木造椅子も、そういったら壊れていったのに。
 会議室はハクネツしているみたいで、喉をカラカラにしたペットボトル
たちが並んでは、すごい速さで捨てられていく。
 沈殿物が覗いていた穴が、巨大になっていることにも気がづけないまま、
会議室が暗室になる日、足並みは、途絶えた。





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