あてのないまなざし/ホロウ・シカエルボク
かった
すべてがありのまま並べられるわけじゃない
当たり前のことだったのに
見えるものにばかり頼り過ぎて
レールの摩擦熱が
色を無くした太陽とリンクする
三月には不似合いなほどの熱を感じながら
ただ
次の車両が通り過ぎるのを待っていた
乗り込みもしないのに待っていた
飛び込みもしないのに
なんの繋がりもない
そんなものを待つことは
この世で一番哀しいことに思える
だけど
からくり人形のように
ぼんやりした僕らは
そんなことぐらいしか
出来ることがなくて
なにか言葉を交わした気もする
たしかひとことふたこと
だけど
全部夢だったと言われれば
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