あてのないまなざし/ホロウ・シカエルボク
 
ればそんな気もする
始めっから会話なんてなかった
そう考えると
それが一番自然な在りかたのような気がして


昔泳ぎに行った河で見つけた
小学校三年生の男の子の水死体
白い紙に点をひとつ打っただけみたいな
河原に突っ立ってたあの子の母親
何度だってそんなことはあったのだろう
運命は果てしなく
構造は釈然としない
幸福も不幸も不公平で
ルーレットが回るようにある日突然白羽の矢が立つ


僕らが次に見つめる電車は
どんな記憶を連れてくるだろう
一つ手前の隣町の踏切は
今頃遮断機を下しているだろうか
凍える捨て犬のように僕らは寄り添いながら
いつか鳴り響くだろう警笛のことを考えている
思えばいつだってそうだった
いつだって
それはやって来た



ちぇっ
もう三月だなんて










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