あてのないまなざし/ホロウ・シカエルボク
 






忘れた?
それとも覚えている?
あちこちで跳躍する囁きは
たったひとつのおぞましい現実を
僕らの前に突きつける
朝もやの中
最初の電車が走り抜ける瞬間を狙って
血を吹き上げよう
ごみ捨て場のそばの僕ら


獣の牙
四方八方から
身体は穴だらけ
咽喉は悲鳴だらけ
思えば
どんなに美しい朝も
こんなふうにぼやけて
よどんでいたよね


「危ないから近寄るな」
そんな意味のサイレンが
大音量でこだましている
そんな大仰な警告なんて
もう夜は明けたのに
あたりは
火炙りのように明るいのに


どんなに頑張っても
叫びはふ
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