沈丁花2/吉岡ペペロ
と聞いた。そしてお客さんを北千住に送り届けた。しかしそれは抜き打ちテストだったのだ。
朝飯を食べ終えて繁治はベランダに面した奥の部屋に布団を敷いた。晴れた日だとベランダはあけたままにしてカーテンだけしめて寝る。ときおり耳元や頬にそよいでくるちからのない風が心地よかった。
繁治は押し入れのほうを頭にして布団にはいった。義兄は病院にでかけていた。肺病を患っているから定期的に薬をもらいにいく。ついでに繁治はデパスをもらってきてもらう。無理矢理にでも寝ないと、夕方からの仕事に支障がでる。デパスをのむと繁治はすぐに眠れた。
繁治は押し入れのほうに微笑みをむけ、姉の唄うチェリーブラッサムを聴いてい
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