沈丁花2/吉岡ペペロ
 
は抜き打ちテストがある。毎月この抜き打ちにつかまってしまう者もいれば、半年も一年もつかまっていない同僚もいる。繁治はなぜか三ヶ月にいちどつかまった。
 抜き打ちはお客さんの顔がよく見えない夜中に行われることが多かった。仕事はつねに外だから会社でも役員に会うようなことはない。けれど繁治には乗せたお客さんが抜き打ちの役員だとなぜか分かるのだった。抜き打ちには意地悪なテストもあった。乗ってきたお客さんに三千円しかないんだけど北千住まで行ってくれないかとお願いされて、そうしてあげた同僚の話だ。彼はお客さんに、座席に重量センサーが付いてるので途中から腰を浮かせて乗ってもらうことになるがそれでもいいのかと聞
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