沈丁花2/吉岡ペペロ
わないが、姉が生きていたころは毎朝おなじことを言っていた。義兄のつくる朝ごはんを食べるようになって何年になるだろう。
「なんかいもおんなじこと言って、ねえ繁治」
姉があきれ顔を繁治のほうに向ける。
「でもほんと美味しいからなあ」繁治もそう言って返す。
朝ごはんがあきないのはなぜだろう。義兄のサラダパン目玉焼きのせを一気に食べてしまう。
「きょうさ、夜中の2時頃、たぶんあれうちの役員だよ。乗ってきたの」
コーヒーを置く義兄にそう言うと、
「あら、大丈夫だったかい」義兄が繁治の顔をのぞきこんだ。
「バッチリだよ。俺は優秀なドライバーなんだから」
繁治の勤めるタクシー会社には抜
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