夜毎の木乃伊/岡部淳太郎
に
まるで死んでいるかのように
動かずに眠る
かつて王は永遠の生を願って
自らを木乃伊と化さしめた
夜毎こうして
このような姿勢で眠る私は
生きているのか
死んでいるのか
私が女を抱いて
その女が子を産み
その子もまた成長して
新たな女に子を産ませれば
観念的にも
遺伝的にも
私の生は永遠につづくはずなのだが
それなのに今夜も私は
ひとりで眠る
横に眠る女もなく
自らの生死も確立出来ぬままに
ひとりで木乃伊の眠りを 眠る
そして朝が来て
木乃伊の寝床は乱れ
木乃伊は木乃伊ではなくなり
ぼんやりといきりたった
時の住人となる
夜毎の木乃伊も
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