少しずつ余計に解き放たれる (逃げ惑うリミット)/ホロウ・シカエルボク
わないか、一日中降り続いた雨のほとんどは、夕暮れの始まる頃に止むものなんだ
言葉を綴るということは入浴に似ている、毎日のように俺は汚れ、浴室でそれを洗い流す、洗い落とさなければ見た目が煤け、臭いもひどくなる…だから洗う、昨日も、今日も、明日も、明後日も―入浴とは汚れとのいたちごっこだ、生きている限り俺は汚れ、それを洗い流す…一見同じ行為のようだが、そこにはほんの少しずつ違いがある、例えばいまの俺は三年前の俺よりもより効果的な洗髪や洗顔の方法を知っている、身体の洗い方もまた然りだ…若いころはそんな洗い方を知らなかった、勢いに任せてがしゃがしゃ引っかけば、汚れは落ちるものだと思っていた、誰に
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