少しずつ余計に解き放たれる (逃げ惑うリミット)/ホロウ・シカエルボク
 
ハン、人生に命題がないやつは迷子になりやすい、俺はインスタントコーヒーを蒸気ごと飲み干して喉を焼く、上等だ、上等だ、週末の火傷にはやりがいがあるぜ、波型トタンの古い外壁のどこかにハイハットみたいに迫り出した場所があって、そいつが雨の間ずっとアメリカン・ロックみたいな大味なビートを刻むから俺は雨が止むまでずっと銃社会に住んでるみたいな苛立ちを抱えている―そんな話をしたって誰にも判っちゃ貰えないだろう、当然のことだ―そんなものが欲しくてこんな話をしているわけじゃない、見くびるなよ―本当の話に相互理解なんかあり得ない、俺は最初にこれに手を付けた時からそのことを知っている、晒せば理解などされない、だが、晒
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