ファントムペイン/ただのみきや
 
みたいに交差して
別の物語へと乗り込んで往く
儘ならなさに沸き返り――
やがて空ろ
瞼から
差し込む
現の光の
痛々しさに
果たされない約束が灰になる
胸を詰まらせ
追いかけることもできず
朝は砂時計のように零れ落ちる
生活は流砂の中で足掻くのに似て
ふり返る度に薄くなり
悲しみだけがしこりとなって


希望とマジックで書かれた
ダンボールの空き箱が
冷たい風に飛ばされて往く


記憶は蒸発するのではなく
こころ深く浸透し 
ひとつとなり
精神を育む
過去が今を造り私たちの中に過去は生き続け――
未来もまた
ここに在る
リンゴの中に種があり
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