前触れ/ただのみきや
ラーボールの乱舞みたいに
学び舎も胸をこじ開け良心を逃すだろう
秒針が行きつ戻りつ辺りを歪め
景色は歯ぎしりしている
誰かと顔を合わせて笑い合った
昔の友達のような誰か
だが友達などいただろうか
靴音だけを齧る影のように
足元を黒い何かが駆けて往く
うっかり蹴ると
おれの頭が氷の上で回っていた嬉々として
子供のころ両手を広げて旋回したみたいに
景色が回転しながら縦になって
傾いだ黒眼でいっぱいのバケツがひっくり返る
空で鐘が震えていた
海月みたいに透明な奴が
悲哀の響きは音を吸いながら
灰を纏った太陽にブラシをかけていた
どこかで人魚が歌っている
「HOWLI
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