前触れ/ただのみきや
LIN、WOLF」のブルースに腰掛けて
二本の指が歩いて往く
熱を奪われて萎れながら
ピーターラビットの絵柄のノートは細長く
妻はそれに意味のあることだけ書くだろう
それは半年後か一年後か
知るすべはない
ざらついた胃の裏側で聞いた声
この国を解体すると言う
職工たちの硬い道具
ダイナマイトの葉巻
だがおれはインターホンを押すだけだ
一つ目小僧は申し訳なさそう
《誰もが不在の世界》
無言でそう語り
照れくさそうに破裂した
《前触れ:2016年2月17日》
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